この中南米協働隊設立目的に記した基本概念に立脚し、この分野では、「国内貢献」を目指しております。
我が国は、かつて諸般の事情から、移民政策を推し進めた時期が存在した。その過程で、南米も移住対象先として、渡航された方々が居られ、そのほとんどの方々は、彼地に於いて、想像を絶するご苦労をなされたと我々は教えられました。今や現地において、十分に根を下ろし、多方面で立派にご活躍され、当該国人の皆様からも尊敬の念を抱かれていることも承知しております。
しかし、一方では、経済的困難を抱えられ、日本の経済的成長期においては、日本に来られ、種々の分野でその一翼を担って頂いているのも事実です。
また、昨今では頻繁に話題に上ることも多くなった、世界に先んじて日本が迎える少子高齢化社会において、外国人労働者への依存が始まると仮定した場合、中南米の日系社会は労働者の提供ソースと成り得るとも考えられます。
然るに、大半の日本人は閉ざされた日本社会の中だけで生活を営んできた経験から、外国人労働者の皆様にとって働き易い環境づくりに十分に意を用いてこなかったケースが多く、種々の側面においてご不自由をお掛けしているのも事実です。
日本人にとっても、必ずしも望む労働者が働きやすい環境が整えられているかと言えば必ずしもそうでもなく、また、歴史的・地理的位置から導入したいモノ・ヒトは入れ、導入したくないモノ・ヒトは入れないという身勝手が許されてきたのも事実です。
「豊かな社会の貧困問題」・「世代を超えて、一人ひとりが居場所を見つけることができる心豊かな社会の実現」・「過剰な/熾烈な競争より連帯を。人を出し抜くより、そっと支え合う社会の構築」と言った様な現実にも意を用いなくてはなりません。多文化・異文化との共生について、我々日本人は更に心を開き・積極的に思考すべきです。
中南米協働隊は、この分野・実情にもきちんと目を向け、本当のニーズを適格に把握して、斯様な不自由や不条理を払拭して差し上げるためにも、地域に密着し、皆様に寄り添った様々なお手伝いをさせて頂くことも、活動の一部と位置づけております。
もはや、日本自体が斯様な皆様からは、見捨てられてしまいつつあるのかも知れませんが、日本人の持つ排他性のようなものの改善など、まだまだ、何か十分ではない・改善の努力が求められるところがあるようにも考えております。